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2015年07月09日

武藤「モデルとしているのはスアレス」

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マインツ|まずは一発かますことが大切だ、武藤嘉紀はそう考えたのだろうか。入団会見で武藤は、ジャージではなくスーツで登場。移籍金280万ユーロで加入した日本代表は遠慮深さと自信、その両方をこの日はのぞかせている。


Yoshinori Muto
マリンブルーのシャツにネクタイ、黒い革靴と白いハンカチ。

マインツのスポークスマンは、この武藤の服装を非常に気に入っていた。「今まででベスト。うちの会長よりもいいですね」確かにその指摘は正しかった。

だがもちろんハイデル氏は、武藤のスタイリッシュさを見て獲得したわけではない。Jリーグ51試合で23得点をマークした、選手としてのクオリティだ。

果たしてこの数字はどう評価すべきなのだろうか?昨年セレッソ大阪でACを務めたラキース氏はこう語る。「日本のテクニックのレベルは非常に高い。しかしタクティクスとテンポという点では、2部レベルですね」

しかしそれで、武藤がブンデスに慣れるのに時間がかかると言っているのではない。「日本人選手は非常に勤勉で、さらに知的好奇心がとても旺盛なんです」

マインツとの契約は2019年まで。火曜日の午後にドイツへと到着した武藤は、まずはドイツ語で挨拶を行った。

「こんにちは。僕のことはヨシと呼んでください。このような素晴らしいクラブでプレーできることを、大変嬉しく思っています。僕は・・・」

そこで止まった武藤は、上を見上げ、そして落ち着きを決して失うことのないまま、再び言葉を続けた。

「僕はマインツのために全力を尽くします。ドイツ語は難しい言語ではありますが、でも勉強します」

それからはタカヤマ・ケイ氏が通訳を担当。

武藤はここでの印象と、これからのマインツ、そしてブンデスでの戦いに向けて、自信をのぞかせながらコメントを述べている。

「世界最高と言われる選手の一人になりたい。そのために、僕はハードに取り組んでいきます。ここ2年間は、僕はCFとしてプレーしてきました。そこでモデルとしていたのが、ルイス・スアレス選手です。特に得点を決めるときの、あの本能ですね」

力強い言葉だ。しかしそれと同時に、日本代表は謙遜の姿勢も見せた。「シュミット監督とはまだこまかいことは話していませんが、でも僕はウィングでプレーするのではないかと思います」

マインツ移籍を決断した背景には、ここでのポジション争いの方が出場機会を得やすいという考えもある。武藤にはチェルシーも獲得へと乗り出しており、その際にはその後レンタル移籍するという話も出ていた。

「あそこは世界で一番大きなクラブですし、そこでうまくやっていくことは非常に難しいと思います」

そんな中で特に武藤がマインツに感銘を受けたのは、ハイデル氏が5月に、36時間の滞在で日本へ説得に出向いたこと。「あれは心に響きましたね」

そのときについて、ハイデル氏はkickerに対してこう振り返っている。

「素晴らしい話し合いだった。そして私は彼に、うちがもつ才能ある若手を成長させる哲学を示したんだよ」

成長。まさにこれが、武藤嘉紀にとってのキーワードだ。

そしてメディカルチェックを済ませ、早速練習に参加した武藤は、そこでブンデスでやっていけるという才能を垣間見せた。スピード、テクニック。2週間前に、シュミット監督はこう語っている。

「うちは、外側に4本のキャノン砲を搭載しているよ」

その1本の名前は武藤だろう。アスレティック且つフィジカル、戦術に合わせて精力的にプレーできる選手であり、さらにもう1つメリットは「既に彼はシーズンに入っていたということ」(シュミット監督)まだチームメイトは練習を開始して10日程度だ。

マインツから見れば、280万ユーロという金額は高額なものである。それでも武藤は「プレッシャーの中でプレーするのが好きなんです」と言ってのけた。

確かにそれを示すエピソードがある。昨年10月22日、対サンフレッチェ広島戦。

この試合の観客席にはマインツ、チェルシー、さらにはレバークーゼンのスカウトも視察に訪れていたのだが、それを知っていたからなのか、武藤は決勝ゴールを決めて、チームの勝利に貢献。

見事武藤は、スカウトたちに一発かまして見せたのである。その時は、スーツとネクタイは無しで。


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