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2018年07月23日

エジルからの言葉〜第2章:メディアとスポンサーへの批判

Germany
.ドイツ代表
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ワールドカップ敗退からこれまで沈黙を保ち続けて来たメスト・エジルが、自身のSNSへと「考えをファンたちと共有する」ため3つの投稿にわけてメッセージを投稿。その第2部は直接名前をあげなかったが一部のメディア、そしてスポンサーに対する苦言となった。

「僕は世界3大リーグの全てでプレーしてきた選手だ。ブンデス、スペイン、プレミアリーグ。そこでは僕はチームメイトやコーチ、そしてスタッフから幸運にも多大なるサポートを受けることができたよ。そしてキャリアを通じて、メディアとの接し方についても学んで来た。

多くの人が、僕のパフォーマンスについて語っている。褒めてくれる人もたくさんいるし、批判する人もまたたくさんいる。新聞の記者や専門家から、僕がプレーした試合でミスを指摘されるならばそれはアクセプトするよ。僕は決して完璧なサッカー選手ではない。もっとハードにトレーニングをしていく、そのモチベーションになるんだ。でもアクセプトできないことは、ドイツのメディアが幾度となく、僕が二つの国のルーツをもつことについて悪意をもって伝えていること。そしてたった1枚の写真を、ドイツ代表全体がみせたワールドカップの失態の理由のようにしていることだよ。

いくつかのドイツの新聞では、僕にあるトルコの背景と、エルドガン大統領との写真を利用する形で、極右化のために政治的な利用目的で使用している。もしそうじゃないならいったいなぜ、ワールドカップ敗退の記事に僕とエルドガン大統領との写真が掲載され、そこには僕のパフォーマンスやチームのパフォーマンスに対する批判が書かれていないのか。なぜ僕のトルコとのルーツと、生い立ちを批判しているのか。これは超えてはいけないラインを超えたものだ。新聞社としてドイツ中にアンチ・エジルを展開していたんだ。

その他に失望したことは、メディアが二重基準をもっているということ。ローター・マテウス氏(ドイツ代表名誉主将)が、以前に世界的なリーダー(おそらくはプーチン大統領)と会っていたことについて、特にメディアから批判が寄せられることはなかった。ドイツサッカー連盟での立場に関わらず、マテウス氏にその行動への説明を求める声が特にあがっていない。彼はドイツ代表を代表し続けている立場にいるにも関わらずだ。もしもメディアからみて、僕がワールドカップから外されるべきだったとみるのであれば、マテウス氏もまたドイツ代表名誉主将の座から降りるべきだろう。僕がトルコにルーツをもっているということが、よりターゲットしやすかったのではないのかい?

僕がずっと思いつづけていること。それは、パートナーシップの中には、互いへのサポートも含まれているということ。それは良い時も、そして悪い時についても含まれるものだよ。最近のことだけど、ゲルゼンキルヒェンにある母校を訪問しようとしたんだ。そこには僕のチャリティのパートナーと一緒にいく予定で、そこでは移民や貧困といった背景のある子供たちをはじめとして、サッカーをプレーすることや社会のルールを身につけていくための1年間のプロジェクトへの投資を行なっていたんだよ。でも行く数日前になって、パートナーから僕は突然外れ、彼らは僕と一緒に取り組むことをもう望まなかったんだ。さらにその母校からも、マネジメントに対して訪問を控えるように伝えられた。トルコ大統領との写真の影響から、メディアが殺到する恐れがあるというものだった。ゲルゼンキルヒェンでは極右が力を増して来ているしね。でも正直、それは辛かった。そこの卒業生なのに、僕は求められていない。価値のない人間なんだと感じさせられたよ。

さらに別のパートナーからも断られるということがあった、そのパートナーとは、ドイツサッカー連盟ともスポンサーを担っているところだ。ワールドカップにむけたプロモーションビデオに参加するとは聞いていたんだけど、でもエルドガン大統領との写真の件からキャンペーンから外され、他にも予定されていた活動もキャンセルされてしまった。僕との繋がりは、良いものではないと判断されてしまったんだ。説明された言葉は、これはリスクマネジメントなんだと。でも実にそれは皮肉ではないか?だってそのスポンサーは、違反のソフトウェアを使用し、それが顧客を危機的に状況に陥れているからということで、何十万台ものリコールを余儀なくされているんだよ。にもかかわらずドイツサッカー連盟は、僕に対して説明を求めているのに対し、彼らのスポンサーに対してはそれを口にしていない。それはいったいなぜだろう?このことはエルドガン大統領と写真をとることよりも、よっぽど悪いことじゃないかな?これについて、果たしてドイツサッカー連盟は何と答えられるのだろうか?

前述した通りパートナーというものは、良い時も悪い時も一蓮托生であるべき。その点でアディダス社、ビーツ社、ビッグシュー社はずっと一緒に取り組んでくれている存在だ。ドイツのメディアが伝える愚かなことを、ちゃんと上から見極めていてくれている。僕たちのプロジェクトを、プロフェッショナルな手法で継続しておりとても楽しいものだよ。ワールドカップ期間中には、ビッグシューとの取り組みの一貫として、ロシアで生命に関わる手術を23人の子供たちが受けられるようなサポートを行なった。これはブラジルや南アフリカでも行なったことだよ。サッカー選手という立場にある僕にとって、これは本当に重要なことなんだ。にもかかわらず、これについてはまったく伝えられていない。そういう人たちにとっては、僕がブーイングされることや、エルドガン大統領との写真の方が、手術なんかよりも面白い話題だからね。メディアというのは、こういったことを伝え、募金や注目をつのることができるプラットフォームを持ち合わせているというのに、それを行わないという判断をくだしたんだ。」

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