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2018年07月28日

【まとめ】メスト・エジルの代表引退宣言とその余波

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 ドイツ代表としてのキャリアを92試合の出場で終えることを決断したメスト・エジル。その宣言に書かれていた内容は、今年5月はじめのトルコのエルドガン大統領との写真撮影の応じた同選手が、それから数ヶ月間の期間でドイツサッカー連盟を中心に、メディアやスポンサーから受けた扱いに対する抗議声明だった。日曜日に5時間にわたり、引退宣言を徐々にSNSへと投稿する形で行なった今回の引退劇は、大きな影響をもたらす結果となったが、ひとまずこれまでの流れについて、改めて振り返っていこう。

メスト・エジルの言葉:第1章

 その5時間に及ぶ引退劇の幕開けとなった最初の投稿では、エジルはエルドガン大統領との写真撮影における正当性を改めて強調。「今回や前回の選挙結果にかかわらず、僕は写真撮影の応じていたことだろう」と述べている。

メスト・エジルの言葉:第2章

 そしてその2時間後に投稿された第2章では、エジルは一部のドイツメディアと、自身のスポンサーを務めていた企業に対して、辛辣な批判を展開。それはエジルにとって、我慢の限界を超えるものだったと主張している。

メスト・エジルの言葉:第3章

 5時間にわたる世界に向け、英語で記載された引退宣言の最後に書かれていた内容は、ドイツ代表からの引退宣言と、ドイツサッカー連盟、特にラインハルト・グリンデル会長に対する強烈な批判であり、なかでも「グリンデル会長や彼を取り巻く人たちにとって僕は、勝てばドイツ人で、負ければ移民」という言葉は、日本でも大きく取り上げられることになる。

メスト・エジルの言葉:周囲からの反応

 このエジルの代表引退劇は大きな余波を生み出す結果となり、非常に多くのリアクションをみせることとなった。

 長年共にしたドイツ代表の仲間からは、兄ケヴィン=プリンスが特に人種差別非常に積極的で、2年前にドイツの極右政党から人種差別を受けたガーナ系ドイツ人ジェローム・ボアテングがツイッターにて「楽しかったよ。Abi(トルコ語でブラザーの意味)」との言葉を投稿。

 さらにドイツサッカーリーグ機構のラインハルト・ラウバル会長は、今回あえてエジルが、人種差別と結びつけてドイツサッカー連盟と同連盟会長を批判したことについては、「到底、理解できない」と語った。

同じ境遇のトルコ系ドイツ代表デミルバイの反応

 また同じトルコ系ドイツ代表で、エジルの出身地ゲルゼンキルヒェンに非常に近い地域出身のケレム・デミルバイは、エルドガン大統領の写真撮影については「僕にはなんとも言えない。人それぞれ、自己責任をもっているもの。あの状況の中のメストなら、特にね」と述べつつ、もう1つのエジルへの批判ポイントである、W杯での低調なパフォーマンスへの批判については「ドイツ代表のために多くを捧げてきた選手。低調だったのは彼だけじゃなくチーム全体だ」と擁護している。

メスト・エジルの言葉:ドイツサッカー連盟からの反論

 そして月曜日にはドイツサッカー連盟が声明を発表。メスト・エジルのドイツ代表引退決断を惜しむと同時に、人種差別を受けたという批判点については否定。「サッカー連盟として、多大な貢献を果たしてくれた代表選手に対し、リスペクトをしていくために不透明な内容については一切コメントを差し控えていく所存です。」との見方を示している。ただこの中では、グリンデル会長の名前は見当たらなかった。

レーヴ監督は事前に知らされず

 なおヨアヒム・レーヴ代表監督は、メスト・エジルの代表引退宣言について、おそらくは驚きを感じていたことだろう。ビルト紙が伝えたところによれば、エジルはレーヴ監督に対して、事前に代表引退について知らせてはいなかったようだ。

グリンデル会長が、批判の声に対して反論

 エジルの引退発表から4日後、エジルから名指しで強い批判を受けていたラインハルト・グリンデル会長が声明を発表。争点の大きなポイントの1つである、エジルを巡る問題への対応へのミスについては認めつつも、あくまで人種差別という批判点については反論を述べている。「私個人、そしてドイツサッカー連盟全員の総意としても宣言する。いかなる人種差別行為も許しがたいものであり、決して受け入れられるものではないと。」


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