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2017年12月15日

ドルトムントに勝利をもたらした新指揮官の「ひと手間」

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これまで新たに監督が就任する際には、決して直接的にというわけではないのだが、前任者が行ってきたことに対して否定的なスタンスが垣間見えることは決して珍しいことではない。まして賞賛の言葉を送ることは例外的なことだということができるだろう。しかし就任初勝利をあげたペーター・シュテーガー監督からはその言葉が躊躇なく発せられていた。

「たくさんのいいポイントが見受けられた。それも前任者ペーター・ボシュ監督によるところだ。」そう語った新指揮官は、「彼はたくさんのいい部分を私に残していってくれたんだ。実際、誰からも彼に対するネガティブな発言は聞かれない。今回の勝利は彼による部分もあるよ」と言葉を続けている。

今夏にアヤックスからドルトムントの監督へと就任したペーター・ボシュ監督が、最近の公式戦13試合でわずか1勝にとどまり、ヴェルダー・ブレーメン戦で低調なパフォーマンスを露呈してチームを後にしたのは数日前のことだ。だがこの日チームを率いたシュテーガー監督は、さっそく2−0でマインツから勝ち点3の獲得。長いトンネルから抜け出させることに成功した。

だが前指揮官への敬意は決して口先ばかりではない。実際にこの日にシュテーガー監督が採用したシステムは、ボシュ監督がこだわり、また攻撃的で不安定すぎると批判の対象となっていた4−3−3システムだったのだ。しかしながら火曜日にみせたドルトムントの選手たちの戦いぶりからは、そういったネガティブな部分はさほど目立っていない。いったいなぜなのか?そこには、シュテーガー監督が「ひと手間」加えたことがが深く影響を及ぼしている。

この日のドルトムントの選手たちは、これまでよりも数メートル下がってプレーしており、以前ほど早く仕掛けるわけでも、非常にアグレッシブに前に向かってディフェンスを行うわけでもなかったのだ。

こういった判断をシュテーガー監督が下せた理由は、前任者とは異なり「凝り固まった概念」にシュテーガー監督がとらわれていなかったことが挙げられるだろう。「まだ何も作り上げてはいないのだし、選手たちが何をできるのかという方向性でいった。選手それぞれがもっともやりやすいと思う場所でプレーさせたいと思っていたよ。」と、シュテーガー監督はコメント。

特にこの日ワンボランチとしてマインツ戦でプレーしたユリアン・ヴァイグルはその恩恵を特に受けた選手といえるかもしれない。背後からビルドアップを行い、そして守備面での対人戦でもここのところよりも対人戦で改善したところを見せていた。なかでも特筆すべきは、この日のパスミスはわずか1つしかなかったことである。


確かに相手MFセルダーのシュートがポストに阻まれるなど、立ち上がりこそ不安定な部分も見せていた。しかし時間を追うごとにシュテーガー監督のアプローチが功を奏していく様子が見て取れ、徐々に確実性を安定感は増していき、最終的には勝利にふさわしい戦いぶりを敵地に詰めかけたファンの前で披露している。

「とてもほっとしたね。最後に勝利を収めたのは9月なんだ。まだあの頃は温かい季節だったよ。今回の勝利は本当に好影響をもたらしてくれるものさ」と喜びをみせたミヒャエル・ツォルクSD。一方のシュテーガー監督にとっても、先日まで率いていたケルンでは未勝利だったことから今季初勝利というおまけもついた。

主将のマルセル・シュメルツァは「安堵感はとても大きなものがある。出口が見えないトンネルに入り込んでしまったような感覚を覚えていたからね。メンタリティも、気迫も、精力さも、今回は試合を通じて出すことができたと思うよ」と胸を張る。

はたしてこれでドルトムントが軌道修正を果たすことができるのか?その期待値は確実にある。「土曜日の試合に、我々はいい感覚をもって臨むべきだよ。そしてこれをつなげていくことだ。それでまた正しい歩みをみせることができるさ」とツォルクSD。

週末の相手は、昨季に3位争いを演じたTSGホッフェンハイム、そして来夏に招聘を模索するのではと伝えられるユリアン・ナーゲルスマン監督との戦い。半年の契約を結ぶシュテーガー監督にとっては、再びより大きな注目を集める試合となりそうだ。


なお地元紙ルール・ナハリヒテンに対して、ハンス=ヨアヒム・ヴァツケCEOは「来シーズンの監督はまったくの白紙だ」と強調。「そして新たな監督について、誰とも話し合いなど行なってはいない」と言葉を続け、マインツ戦で勝利をおさめたシュテーガー監督について「再び安定感をもたらしてくれたね」賛辞をおくった。

シュテーガー監督「ナーゲルスマン監督はいい監督」



ペーター・シュテーガー(監督:ドルトムント)「久々に勝利を収めたことによって、少し落ち着いた雰囲気になっているよ。ただそれは私のおかげというわけではないがね。自信と前向きな気持ちをもって、試合へと臨んでほしい。マインツ戦では、決して全てがうまくいっていたというわけではないだ。前半は難しかったしね。ただ時間にそこまでの余裕があるわけではないから、この間でそこまで多くのことに着手できるわけでもないがね。クラブ組織内の亀裂のようなものは特に感じてはいない。それにオーバメヤンは気なくないいやつだよ。ナーゲルスマン監督のことが、私に影響を及ぼすことはないし、私がいえるのは、彼はいい監督だということ。毎週毎週のこの時間を楽しんでいくさ。これほど大きなクラブで取り組めるなんて素晴らしい機会だよ」


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