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2018年04月24日

才気と狂気の狭間:ジェイドン・サンチョ

Borussia Dortmund
ボルシア・ドルトムント
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果たしてそれは才能の片鱗か、それとも無謀さから生み出されたものなのか。ジェイドン・サンチョがみせるパフォーマンスについて、ペーター・シュテーガー監督は週を追うごとに異なる答えを感じ取ってることだろう。そして週末に行われたレヴァークーゼン戦では、イギリスから渡ってきたティーンエイジャーはその大きな才能を見事発揮、周囲からは大きな賞賛の言葉が送られている。

いかにサッカーの世界では浮き沈みが激しいものであるのか。そのことをジェイドン・サンチョは、自身の置かれている立場のみならず、クラブが置かれている状況からも感じ取っていることだろう。前節の宿敵シャルケとのダービーで敗戦を喫した選手たちに対して、試合開始前にはファンたちから厳しいメッセージが書かれた横断幕が掲揚される事態にまで発展していたのだが、しかしそこでドルトムントはホームでレヴァークーゼンを4−0で撃破。大観衆を熱狂させて見せたのだ。

そしてサンチョ自身も、ブンデス初挑戦となったこの1年の間に様々なことを経験してきた。U17で優勝を果たし、さらなる飛躍を期し大きな期待をもってドルトムントの門を叩いたティーンエイジャーだったが、しかし新たな国、新たな言語、新たな環境に馴染むための時間を要する結果となり、負傷も合間ってリーグ戦30試合を終えた時点での総プレータイムは300分程度。第19節のヘルタ戦でこそ1アシストをマークしていたが、ブンデス初得点はまだお預けのままとなっていた。

そんななか、最近2試合で途中から出場していたサンチョは、週末のレヴァークーゼン戦で第20節のフライブルク戦以来となる先発のチャンスを掴むと、そこで1得点2アシストの活躍を披露。ミヒャエル・ツォルクSDは「大したティーンエイジャーだ」と賛辞をおくり、さらにそのサンチョのアシストでこの日2得点目を決めたマルコ・ロイスは「3−0としたフィリップへのアシストが全てを物語っている。彼のあの年齢のとき、僕はあそこまでには至っていなかった。とてもリスペクトするよ!」との評している。


一方のペーター・シュテーガー監督も「ジェイドンは大きなポテンシャルをもった選手。ダイナミズム、スピード、1vs1での強さ、テクニックを兼ね備えているよ」とコメント。だが当然そこで出てくるのは、ではなぜそこまで多くの出場機会が与えられないのか?ということだが、その質問が及ぶ前にシュテーガー監督は「彼がしっかりと自己分析をし、時間を無駄にせずに、そして周囲も彼の将来を思ってどういった部分を改善していくべきかを伝えていくということ。それができれば、ここでもうまくやっていけるさ」と言葉を続けた。

確かにサンチョは長い間、練習では目的意識のないプレーをしばしば露呈していた。だがそれもここ数週間では変化が見られており、シュテーガー監督も「今は練習での取り組みに進展がみられている。それが今ふたたび出場機会を得られている理由になっているんだ」と説明。なお試合後のサンチョは、得点について聞かれると「あのゴールの前にビッグチャンスを逃してしまっていた。だから今日はどうしても得点を決めなくてはならないと思っていたんだ。」と振り返り、「特に南側の大観衆の前で決められてよかった。ファンタスティックだよ。とにかくうれしいね」と喜びをみせている。

なお18才と27日でのゴールは、イングランドの選手としてブンデス史上最年少での得点であり、かつボルシア・ドルトムントにとってはイングランドの選手としての初得点ということにもなった。


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