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2018年05月22日

kicker番記者:ファヴレ監督は迷走するドルトムントを救い出せるか

Borussia Dortmund
ボルシア・ドルトムント
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文:トーマス・ヘネッケ(訳:kicker日本語版)

ゆっくりと現実へと近づき、そして火曜日に正式に発表となった今回のルシアン・ファヴレ氏の監督就任だが、しかし全くといっていいほど驚きを感じるものではなかったともいえる。2度目のチャレンジで招聘に成功したスイス人指揮官は、細かい部分にまで意識が行き届く人物でもあり、かつてグラードバッハで指導を受けたマルコ・ロイスも「センセーショナルな監督だ」と称賛の言葉を送るほどだ。ファヴレ氏といえばそのロイスをはじめ、クロップ監督やトゥヘル監督と同様に代表選手製造工場の一端を担ったことでも評価を受けている。

そし還暦をむかえた指揮官がこれから取り掛かる課題は、ボルシア・ドルトムントを再び軌道にもどし、そして将来的には安定をはかっていくということだ。ドルトムントでは最近13ヶ月間のうちに4人目の監督を迎えるなど迷走、ハンス=ヨアヒム・ヴァツケCEOやミヒャエル・ツォルクSDも、監督人事やチーム編成においてこれまでの過ちを認め改善を目指しているところであり、ファヴレ監督には定まらないプレースタイルやサッカー哲学の改善、あらたな形をもたらしてもらいたいところ。ただクラブ自体にはメンタルの強さもキャラクターも備わっており、あとはより魅力的なサッカーで、ファンをもっと魅了していくようにすることだ。

専門知識という観点においては、ドイツで2番目に大きなクラブを再び戦える集団とするため、ファヴレ氏に対して特に疑問の余地などない。これまで指揮をとってきたクラブで成功をおさめており、専門家としても戦術家としても高い評価を受けている人物だ。実際これまで就任したクラブで明らかな浮上へと導いて来た。

だが数多くの傷を負ったドルトムントにおいて求められる監督像とは、多少なりとも特殊なものがあり、それは2時間半も戦術の練習で時間を費やしレクチャーを行うものでも、絶えず縦へのラストパスばかりにこだわりをみせるようなものでもなかったのである。ドルトムントの監督としては、コミュニケーション能力に長け、オープンに、地元を歩き回るような気さくさを兼ね備え、できることならメディアとも上手に付き合っていける人物。そして試合では1試合のなかで何度もシステムを変えるよりも、気持ちの入ったタックスをみせることを、ドルトムントファンは好む傾向にあるのだ。

果たしてファヴレ氏はユルゲン・クロップ氏ほどに、マッチした監督となれるのか。そこまではまだわからない。ただ確かにファヴレ氏はこれまでもウケはいい人物であり、もしも自身にとって思うような演奏を奏でることができれば、人々の気持ちを乗せていくことだってできるだろう。おそらくファヴレ氏は即座に、ドルトムントで監督を務めるということは、監督以上のことが求められることにいち早く気づくはずだ。だがそこで自分らしさを失うべきではない。しっかりとプランを描き、作り上げ、そして明確に軌道へとのせて進んでいくということ。定評通りに脇目もふらず一心不乱に取り組むことができれば、ファヴレ氏はボルシア・ドルトムントにとって、本当にいいチョイスだったと振り返ることができるだろう。


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