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2016年05月25日

「経験しないと悔いが残る」…去就注目の清武、芽生えた欧州トップレベルへの思い

Hannover 96
ハノーファー96
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9月から2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選を控える日本代表にとって、6月のキリンカップ2連戦(3日=ブルガリア戦=豊田、7日=ボスニア・ヘルツェゴビナとデンマークのいずれか=吹田)は非常に重要な準備の場。チーム全体の活動開始は5月30日だが、それに先駆けてシーズンオフ入りした欧州組のコンディション調整合宿が24日から千葉県内でスタートした。


初日は川島永嗣(ダンディー・ユナイテッド)、長友佑都(インテル)、吉田麻也(サウサンプトン)、清武弘嗣、酒井宏樹(ともにハノーファー)、酒井高徳(ハンブルガーSV)の6人と、国内でリハビリを続けている内田篤人(シャルケ)、山口蛍(ハノーファー)、武藤嘉紀(マインツ)の合計9人が参加。練習開始前のミーティングでは、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が山口に対し「まず顔の骨折が治ってきている」と前向きに評したうえで、「キミは(フランスの伝説的名優の)アラン・ドロンのようにカッコいいね」と声をかける一幕があった。本人が「それ誰ですか」と珍回答したことで全員から笑いが起きるなど、終始、和やかな雰囲気に包まれていた。


トレーニングの方は前者6人と山口が25分間のランニング、タッチラインを20秒・ゴールラインを30秒で走るインターバルトレーニング、センターサークル内でのボールコントロール練習、5×5メートルのエリアを使った4対2といった密度の濃い内容を約2時間にわたって消化。一方で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任直後の2015年3月の代表シリーズ以来の合宿参加となる内田はスプリントを含むやや強度の高いメニューをゆっくりとこなし、武藤の方は体幹強化を軸とした負荷の軽い内容を行っていた。だが、山口を含めてリハビリ組3人はキリンカップの登録メンバーには入らないという。「内田は元に戻るにはかなり多くの時間をかけないといけない。山口も来シーズンに向けたトレーニングも含まれている」と指揮官は焦らずじっくり彼らの回復を待つ考えのようだ。


1年前の2次予選初戦・シンガポール戦(埼玉)前にも同じような欧州組のみのトレーニングが行われたが、この合宿で苦い経験をしたのが清武。右足第5中足骨骨折の重傷を負い、今シーズン序盤を棒に振ったのだ。加えて彼は11月のカンボジア戦(プノンペン)の際にも同じ箇所を骨折。2月に復帰し、ブンデスリーガ終盤で光り輝くパフォーマンスを見せたものの、所属のハノーファーは2部降格の憂き目に遭ってしまった。全ての元凶となったのが、1年前の代表欧州組合宿だったのである。


「今シーズンはケガが多く、試合出場数もドイツに行って一番少なかった。10番の責任をそこまで果たせなかった。今の時期にケガをしたら本当にもったいない。去年のことを思い出して、しっかり調整しながらやらないといけない」と清武自身も細心の注意を払うという。


ドイツで4シーズンを戦い、ニュルンベルクとハノーファーで2度の降格を経験した清武だが、今シーズンのハノーファーでのパフォーマンスは周囲から高く評価された。現所属先との契約はあと2年残っているが、彼へ興味を示すクラブは後を絶たない。来シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)出場権を得ているレヴァークーゼンなどからも引きがあると言われ、キリンカップ後に清武争奪戦が起きるのは間違いなさそうだ。


「2年後のワールドカップを考えながら、自分が一番レベルアップできるところに行きたいとは思ってます。自分ももう27になる年だし、CLとかEL(ヨーロッパリーグ)を経験すべき。経験しないといけないとも思います。4年前に欧州へ行った頃はあまり欧州サッカーを見なかったけど、実際に見る機会も多くなって、自分の中でもそういうところでやりたいという気持ちも芽生えてきた。欧州にいる以上、そこを目指さないといけないし、経験せずに帰るのは悔いが残ると思います」と彼は高いレベルへの渇望をメディアの前で包み隠すことなく口にした。


そういう舞台に立たなければ、つねに自分の前を走っている香川真司(ドルトムント)に追いつけないのという思いも強い。「真司君は見てる世界も感じている世界も違う。つねに自分の上を行っている存在」と清武も繰り返し語っている。日本代表で正々堂々とトップ下争いを繰り広げるためにも、来シーズンの新天地選びは非常に重要になる。より自分自身が輝ける舞台を勝ち取るためにも、このキリンカップで3月の2次予選2連戦のように香川に匹敵する存在価値を示さなければならない。それは清武本人が誰よりもよく分かっているはずだ。


「欧州の相手とできるのは日本代表にとって貴重な経験。チームとしてどういう戦いになるのかがすごく楽しみです」と爽やかな笑顔をのぞかせた彼に、欧州トップレベルで戦えるだけの潜在能力の高さを今回の代表2連戦でより強く印象づけてほしいものだ。



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