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2018年06月01日

バイエルンよりもケルン:ドイツ代表SBヘクター「僕はこういう男なんだ」

Germany
.ドイツ代表
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もしもバイエルン・ミュンへンやボルシア・ドルトムントからの連絡があれば、さして長く思い悩む必要もないだろう。しかも実際にそれを受けたヨナス・ヘクターの契約には、さらに例外条項として800万ユーロで契約解消が可能となっていたのだ。だがヘクターが下した決断は、むしろその例外条項を解消するというものであり、さらに2部降格を喫したケルンとの契約を2023年まで延長している。

ただしこれがサッカー界におけるモラルの欠如へ、一石を投じるような考えではないことを、地元紙デア・ヴェステンとのなかでヘクターは強調した。「今回の決断は、昨今のサッカー界へメッセージを送りたかったとか、そういうことではないよ。あくまで個人的に納得した上での決断だったということさ。妻も友人も家族も、みんなここケルンでとても居心地よく過ごしている。僕はクラブでも、この街でも本当に気分がいいんだ。だからそれを手放したいとは思えなかったんだよ」

ヘクターが自分の気持ちに正直でありつづけたことは、何も今回の決断に限ってのことではない。若手時代にも好条件のオファーが提示されながらも、ケルンへの移籍は当時20歳まで待ち続けた。「そういう性格なんだよ。昔からそうだった。僕は1つ隣のザールブリュッケンに行くよりも、自分のふるさとの小さなクラブで、友人らと一緒にプレーしたかったんだ。ただガムシャラに上り詰めようというのではなく、友人らとサッカーをしたいという気持ちの方が優っていたんだよね」

ただその一方でドイツ代表としてのキャリアを歩む選手として、そういった姿勢を消極的として批判する声もある。だがヘクターは「それは違うね。僕はとても意欲的だよ」と反論。たとえ条件が多少なりとも劣っていたとしても、あくまで「トータルパッケージ」でケルンが上回っていたとの考えを示した。

「他のクラブにいけば、確かにもっと多くのサラリーを得られただろう。でも僕の目標設定は、たとえベンチでも生涯で4億ユーロを稼ぎたいとか、そういうことで満足できるようなものではないんだ。僕はお金よりも大切なものがあると思っている。僕にとってより重要なことは、今おかれている状況の中で、自分自身が幸せなのかどうかだ。そしてもしもその答えがイエスであれば、なぜそれを敢えて、自分がこれから手放す必要はあるのかという考えが生まれてくるものだよ」

だがその決断がドイツ代表としてのキャリアに影響を及ぼす恐れは感じなかっただろうか?「確かに頭の中では、それもよぎったさ」とヘクター。「でもあくまで自分のことが大切なんだよ。」なおその決断に際して、ヨアヒム・レーヴ代表監督には相談を「まったくしていない」とも明かしつつ、「監督には話していなかったけど、もちろんチームメイトや知ってもらいたいスタッフらには意思を伝えていた。みんなリスペクトして意見を言ってくれていたし、実際にその内容は自分が耳にしたいものだったよ。」とも述べている。

そしてヘクターは、これまでの自身のキャリアについて満足感をいだいており、確かにかつては他の選択肢をチョイスしていればより早くキャリアの階段をかけ上がれるかもしれないと考えたときもあったが、「でも僕は子供のころから友人たちと一緒に過ごし、プロになり、そして代表でプレーできるようにもなった。これ以上にうまく行く人生なんて、僕にはちょっと想像できないね」と語った。


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