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2022年04月07日

ウクライナ侵攻:独5部で笛を吹くFIFA国際審判員

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 ドイツ5部、オーバーリーガにてデビューした、ある審判員がいる。デニス・シュールマン審判員は、FIFA国際審判員であると共に、何十万人にも及ぶウクライナ人の仲間らと共に、ドイツに避難したうちの1人だ。現在は家族と共にハンブルクに住んでおり、先週金曜夜にはじめてドイツ・アマチュアリーグの試合で審判を務めている同氏の様子をNDRが伝えた。

 副審のマルコ・クラヴィアク審判員やビョルン・ラッセン氏らと共に、木のテーブルを囲み食事をしながらも、常に手には携帯電話があり母国の友人、親戚らからの惨状を伝える知らせに常に意識し続けていた。「審判員のメッセンジャーグループもあるんです。特にそこでは自分たちが住んでいる街の様子が投稿されています」とシュールマン審判員。「国にとっても、私にとっても辛い状況です」

 ドイツでのアマチュアデビューとなった会場は、それまでヨーロッパリーグ予選などで主審を務めた35歳にとって、観客わずか100人ほどと小規模なものだ。だがそこでみせたシュールマン審判員の仕事ぶりからは高い集中力が感じられ、「60分過ぎから少しトリッキーな展開となったものの、彼はすぐにそれを理解していたよね」と、ハンブルクサッカー協会の審判員協会はアンドレアス・バンド氏は称賛の言葉を送る。

 試合終了後シューマン審判員はロッカールームへと引き返すと、それから間も無くしてドイツサッカー連盟のオフィシャルスーツに身を包みクラブハウスを後にした。それはドイツサッカー連盟のパトリック・イットリヒ審判員から与えられたものであり、43歳のドイツ人審判員は彼がハンブルクに到着して以来、シュールマン一家の世話をしている。このオーバーリーガで審判員を務められるように手配したのも、イットリヒ審判員だった。「戦争のことばかり考えずにすむように、何かをしなくては。これで2時間くらいは落ち着けます」

 そう話すシュールマン審判員は、首都キーウからわずか数キロの街で兄弟と共にピザ屋を経営。審判員の副収入もありロシア侵攻以前は、経済的に順調な生活を歩んでいた。だがその全てが失われるかもしれない。兄弟と母はウクライナに残った。しかし「5歳の息子には特別な治療が必要なんだ。だからそのためにドイツに来た」と、選択肢はなかった。それでも前を向き、ドイツで笛を吹き続ける。「戦争が終結するまで。そうすればすぐに戻ります」とシュールマン審判員は語った。



 ドイツのアマチュアチームで汗を流す、ウクライナからの避難民は審判員だけにとどまるものではない。例えばボルシア・ドルトムントでは2選手が、3月中旬よりセカンドチームにて体調維持に努めているところだ。これは地元紙ルール・ナハリヒテン紙などが伝えたもので、参加しているのはレイモンド・フリンポン・オウス選手と、アラン・オウシ選手。時にトップチームの練習にも参加し、エルリング・ハーランドらともトレーニングしている。またドルトムントでは物資による寄付や医薬品などを現地へと輸送。また寄付金も募っており、4月18日までは日本からもリストバンド購入により寄付することが可能だ。

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