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2022年04月08日

「二極化する欧州」、ファイナンシャルフェアプレーを改革

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 UEFA執行委員会は木曜、FFP(ファイナンシャル・フェアプレー規則)に関する包括的改革により、 今年の夏からはFSR(ファイナンシャル・サステナビリティ規則)が施行されることを明らかにした。2010年に導入された前者では、収入以上のお金をしようすることができなかったものの、ここのところはその影響力の欠如に批判の声があがっており、特にコロナ禍によって「包括的な改革」が求められていた中、UEFAのアレクサンデル・チェフェリン会長は今回「革命的」に変えたと胸を張る。

 今回の改革には大きく3つの柱が盛り込まれているが、最大の改革はなんといっても人件費、移籍金、コンサルタント料などの支出を、クラブ収入の70%に制限するという「チームコスト・ルール」の導入である。「査定はそれぞれのケースによって適時行われる」上に、「違反が判明した場合には、あらかじめ設定された罰金措置がとられる」とのこと。新ルールのもとでは各クラブが他のクラブ、従業員、税務当局、UEFAなどに対して負っている延滞金をより厳しく管理、罰則を科すことにもなっている。

 最後が、クラブのオーナーは今後は3年間で最大6000万ユーロまでの赤字補填を行えるという部分だ。ドイツを代表して交渉にあたっていたマルク・レンツ氏は「ドイツとしては一部の協会やリーグ、クラブが要求している、投資家からの資金使途の規制緩和、コスト制限の引き下げの提案に明確に反対している」と述べ、「ドイツ、そして他の同じ考えをもつヨーロッパのパートナーの視点が優勢となったのだろう。欧州の考えは依然として二極化している」と説明。欧州クラブ協会の会長でパリSGの会長でもあるナセル・アル・ケライフィ氏らは、70%の支出制限などに反対の声をあげており、「今回の新しい規則は、欧州の様々な観点」を考慮した「妥協案」とみる。「当初はこのような結果も見えてはいなかったくらいだ」

 とりわけ投資家の制限撤廃となれば、ドイツのようなサッカーを展開しているリーグの国際競争は大きく損なわれていたことは確実。チェフェリンUEFA代表は「これらの規制はサッカーを保護するものであり、また将来おこりうる問題にむけた準備という点でも役立つことだろう」と述べ、「同時に賢明な投資を促してサッカーのより持続可能な未来を目指す」と胸を張り、バイエルンのカーン代表も「サラリーと移籍金の高騰化への多少の歯止め」を期待し、1つの「マイルストーン」との言葉で表現した。


 なお今回のFSRは今年の6月より施行されるものの、3年かけて徐々に導入されていく予定。「欧州サッカーの財政的安定性を強化するため、新しい規則を一貫して実施し、違反行為には一貫して制裁を加えなければならない」としているように、FFPはルールの裏をかくことができる脆弱なもので、違反しても重い罰則が課されることはほとんどなかった。それでもなお、果たしてどれほどの効果を今回の改革がもたらすことになるかは疑問は残る。ビッグクラブに対する制裁について、新しいレギュレーションがどの程度有効かはまだわからない。当面は、FFPの基本的な問題は変わらず、遡及してのみ検討されることになるのである。理論的にはクラブは過度に資金を投入することで欧州リーグへの出場権を獲得、その結果メディア収入を増やすということが可能となっており、このこと自体が実はサステナビリティの精神に反することに他ならないのだから。
 


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