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2018年06月29日

ドイツkicker論評:歴史的惨敗を喫したドイツ代表、進退問われるレーヴ監督

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ドイツサッカー史上最悪の失態劇は、韓国戦での敗戦で終幕を迎えた。これからドイツサッカー連盟では、この大会を改めて総括し、そして立て直しをはかっていくことになるのだが、それはレーヴ監督自身のことも含めて見つめ直す必要があるだろう。ドイツを代表するサッカー専門誌kickerのチーフを務める、オリヴァー・ハルトマンの論評を以下にて翻訳・掲載する。

文:オリヴァー・ハルトマン(訳:kicker日本語版)

トニ・クロースがスウェーデン戦でのロスタイムに決めた見事な決勝ゴールを除き、前回王者はこれといった見せ場を作れないままワールドカップを後にすることとなった。むしろ大会を通じて期待はずれのパフォーマンスを露呈しており、そのなかでもメキシコ戦と韓国戦は惨めな姿だったといえるだろう。1962年のブラジル代表以来の連覇など夢物語であり、そこに待っていたのは2002年、2010年、そして2014年に前回王者たちが歩んだグループリーグ敗退という失態の繰り返しだったのである。

だがこれは決して驚くような結果ではなかった。確かにこの流れは、大会前では想像もできなかった韓国戦での敗戦で、見事に完結することとなるのだが、しかしながら連覇など現実的に考えられないその兆候は、かなり前から見て取れたものだったのである。それはワールドカップ予選を10戦戦勝で勝ち抜いたあとからだ。

イングランド、フランス、スペインとのドロー、そしてブラジルやオーストリアとの敗戦を、あくまでテストマッチであると判断ミスをおかしてしまった指揮官は、ピッチでの懸命な姿勢はいざ本番となればまた戻ってくるとの意見だったものの、実際はその逆で、3週間の準備期間が功を奏する様はみられることはなかった。

創造性がなく、力強さがなく、救いようがないほどに遅いサッカーを韓国戦で露呈し、そして輝かしい8年の歴史を惨めな形で幕を閉じることになる。2009年にU21欧州選手権を制したノイアー、ボアンテング、フメルス、ケディラ、エジルらに、ミュラーやクロースを加えた世代は、主軸として2014年にワールドカップ優勝という結果で結実してみせたものの、次のワールドカップだけでなく、2年後から即座のチーム再建を迫られることに。

だがその指揮を現ドイツ代表監督である、ヨアヒム・レーヴ氏に託されることになるとは想像しがたい。確かにワールドカップ直前に契約を2022年まで延長することを判断したドイツサッカー連盟のラインハルト・グリンデル会長は続投を後押ししてはいるもののの、それは決して確約を意味するものではないはずだ。

初戦のメキシコ戦から端を発した、今回のワールドカップ・グループリーグ敗退劇は、なにも不運な状況に見舞われたわけでも、逆に明らかにクオリティの不足をみせたというわけでもない。この結果はむしろ、度重なるミスと判断ミスが積もり上がった結果なのだ。たとえばレーヴ監督は今回の準備にあたり、様々な理由で状態がわるかったフメルス、ノイアー、ミュラー、エジル、ボアテングらのベテランの状態を上げることばかりに集中するという致命的な思い違いをし、さらにマネージャーのビアホフ氏も含め、エジルやギュンドアンを巻き込んだトルコ代表表敬問題を、全くもって誤った評価をもって対応し問題は肥大化、この話題から代表の距離をとることに失敗したのである。


さらに膨大に膨れあがったスカウト陣とコーチスタッフと共にメキシコ戦での準備をすすめたが、しかし裏を返せば相手のカウンターにしてやられ、トニ・クロースのマン・マークで意表をつかれており、わずか45分後には全てのマッチプランを見直すという失態も強いられた。そして朴訥な戦いをみせる韓国に対して、まったく機能するようなマッチプランを用意できず、これといった打開策さえ見いだせない。どの3試合をみてもいえることだが、連携などまともにみられたことはなかった。長く時間をかけ行なった準備期間の成果は、最後まで目にすることはなかったのである。

これらのあまりに不甲斐ない一連の結果というものは、いかに素晴らしい12年間をドイツサッカー界にもたらしたとしても、あまりあるものだ。加えて滑稽だったのは、ソチでレーヴ監督が朝の散歩風景を、意識的にメディアに写真で撮影させていたこと。南チロルの合宿中で強調していた自信というものからは無意味ばかりが感じられてしまう。連覇を狙いながらも、ドイツサッカー史上初となる、W杯グループリーグ敗退という屈辱の結果を迎えたドイツ代表。だがこの結果に至ってしまったのは、むしろ当然の流れにあったといえるのである。


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