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2021年04月01日

レーヴ監督「今回も辛い敗北感で代表戦を終えた」

Germany
.ドイツ代表
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 ドイツ代表の選手たちはデュイスブルクでのホーム戦を終え、すでにシャワーを浴び、ヨアヒム・レーヴ代表監督の記者会見も終わっていたにも関わらず、照明が落とされていたスタジアム周辺では、けたたましく車のクラクションや、歓喜するチャント、叫び声などが響き渡っていた。それはドイツを下す大金星を挙げた北マケドニアの少数のファンたちが、終了約1時間後に我を失い、コロナ対策を無視して喜びに浸っていたのだ。まさに北マケドニアサッカーにとって、歴史的一夜となった。そしてそれは別に意味で、ドイツ代表にとっても同じことだ。

 「またしても我々は辛い敗北感を抱えながら、長い休みへと入ることになる」レーヴ監督は試合後、今回の代表戦について総括した。昨年11月に行われたスペイン代表戦では、ドイツ代表史上公式戦最多得失点差となる敗戦(0−6)を喫して、最終的にこれが後のレーヴ監督退任発表を後押しする形となった。そして今回、約20年ぶりとなる、通算3度目のW杯予選での敗戦は、その時に匹敵するほどの衝撃を与えるものだったともいえる。人口200万人、世界ランク65位の北マケドニアでは、最大のスターであるパンデフが37才というチームであり、苦戦はあっても決して敗戦を許される相手ではない。とりわけ今回はユーロにむけたメンバー発表前の前哨戦。にも関わらず、この日にみせた姿はユーロ直前の姿とは程遠いものだった。

 今年の3月9日、レーヴ監督は15年間に及ぶ監督生活へ、このユーロをもって終止符を打つ決断を発表した。そしてそのユーロでの有終の美を飾るためにも、セビージャでの屈辱の敗戦を払拭する戦いを求め、並々ならぬ決意でこの代表戦へと臨んでいた。その結果、アイスランド戦(3−0)とルーマニア戦(1−0)では連勝スタート、メディアからの評判もほぼ好意的なもので占められたものの、今回の北マケドニア戦で露呈したあまりに脆弱なパフォーマンスは、それが過度なものであったと思わざるを得ないのではないか。

 「いや、いや、いや。そんなことはない」と、自身初となるW杯予選敗戦直後、レーヴ監督はこの考えを一蹴した。あの時の勝利は決して「幻などではなく」「誰もが目の当たりにしていたもの」であり、2試合ともに「うまく実践に移すことができていた」。つまり試合を支配し、優れた組織路よくと素早いプレーの組み立てをみせていた、ということ。確かにそれは正しい。だが相手も決してトップクラスにチームではなかった。今夏のユーロのグループリーグで待ち構える相手は、前回優勝のポルトガル、前回W杯王者のフランス代表と、別次元の相手だ。

 しかしレーヴ監督は「何があろうとも、今のもつ信念や、良い大会を過ごせるだろうという前向きな気持ちを、決して失うようなことがあってはならない」と強調。だがそれと同時に今回のデュイスブルクでの敗戦は、自身の退任という決断の正統性を、改めて再確認させるものだった。疲労を敗因の1つに挙げたが、敢えて入れ替えを少なくし、システムは変更するという判断を下したのは、紛れもなくレーヴ監督自身による判断だ。そしてスペイン代表戦と同様に、悪い試合の流れを変えていく策をなかなか講じられなかった。指揮官から出される言葉も、いかにその落胆と失望が大きく、新たな今回の衝撃を消化するための時間の長さも感じさせる。だが6月に控えるユーロまで、もうドイツ代表にはあまり時間は残されていない。
 


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