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2021年06月30日

ロシアW杯とは異なる、ドイツ代表が抱える根深い問題

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 イングランド戦のロスタイム2分を過ぎた頃、ドイツ代表ヨアヒム・レーヴ監督はジャマル・ムシアラを投入した。その俊敏な動きをみせる18歳の若武者からは活きいきとした様子が見て取れたものの、それでも最後まで決め切れるところまではいかず、今大会のドイツ代表を象徴するような場面を目にすることにもなってしまった。

 「僕たちはチームスピリットとしては最高のものがあった」そう振り返ったマッツ・フメルスだったが、同時に「ここで敗退を喫したのは、僕たちが十分に発展しきれなかったからだ」とコメント。その評価は正しいものだったといえるだろう。ロシア大会の時とはことなり、今回はチームのケミストリーやチームスピリットの欠如、エゴイズムの強さなどが原因ではなかった。だが決してそこまで良かったとはいえないイングランドを相手にして、避けることができたであろう今回の敗北の理由は、もっと深い部分にある。

 人間関係というよりむしろ、サッカーの面について。2週間半の準備期間でレーヴ監督は、あらゆる部分の改善を目指した。3バックの採用、キミヒの右SB、ミュラーをハーフエリアに配置。オフェンス陣の形成や、中盤でのコンビネーションを最高に高めることなどを模索していった。だが現状のような脆弱な基盤の上では、個人の能力に優れた選手たちの相互理解を深めていくためには、あまりにも突貫工事が多くの場面で余儀なくされていたのである。

 それはロンドンでも4万5000人の観客の前で見受けられた。例えばゴレツカが行き過ぎとも思えるほどのやる気で対人戦に積極的に挑み、クロースはボール奪取として再びいいプレーをみせ、前線ではハヴェルツが持ち前のクオリティでお膳立てをみせたりフィニッシュを試みるも、それでもチーム全体としての効果は薄く、最終的にそれはこの試合のみならずポルトガル戦を除き、全ての試合で目にされてきたものだった。つまりは前線、中盤、最終ラインといった3つの構成が分断され、関係性をうまく構築することができていなかったのである。

 試合後ヨアヒム・レーヴ監督は、「2024年の母国開催のユーロでは、年齢的にも経験的にも、確実にトップレベルになるであろう若手選手たちがいる。そこにかなりの期待ができるだろう」とコメント。しかしそれはもはや自身への覚悟ではなく、これから就任するハンジ・フリック新監督への要望だ。それに現在のチームのメンバーからみて、比較的高い年齢の構成と今回露呈した問題点を踏まえれば、むしろこの表現は婉曲的とはいえないか?ただいずれにしてもフリック監督には、これから非常に多くの仕事が待っていることに変わりはない。
 


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