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2021年03月10日

ハーランドを襲った呪文「キリコーチョ!」

Borussia Dortmund
ボルシア・ドルトムント
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 昨日に行われたチャンピオンズリーグ16強セカンドレグ、ボルシア・ドルトムントvsFCセビージャ戦において、1つの大きなターニングポイントとなったのが、1−0で迎えた後半54分のペナルティ・キックの場面だろう。すでにファーストレグを3−2で勝利していたドルトムントにとって、この時間帯で2点リードを奪うことは大勢を決する意味も持つことになるのだが、そこでキッカーを務めたハーランドがステップアップする前に、セビージャの選手から「キリコーチョ!」との言葉が浴びせられた。

 この話は、今から60年ほど前にまで遡らなくてはならない。1960年代にアルゼンチンのエストゥディアンテス・デ・ラ・プラタにて、練習に現れる度に選手が怪我をするとして、疫病神扱いされたファンの名前がキリコーチョであり、1982年にこのことを知ったエストゥディアンテスのビラルド監督が、アウェイで訪れたチームと挨拶するたびに「キリコーチョ」と声をかけていたという。その結果、1試合の例外を除いてホーム戦全勝。リーグ優勝を果たしており、唯一ボカ・ジュニオールだけが「呪い」から逃れることができた。

 10年後にセビージャFCの監督へと就任したビラルド監督は、ここでファンたちがペナルティ・キックの際に「キリコーチョ!」との声が浴びせられる様子を目にする。この伝説は海を渡ってスペインにまで到達しており、さらにそれは今でもリーガにて受け継がれ、チリ人のペジェグリーニ監督は、これを定期的に使用する監督の1人である。また2010年W杯決勝では、アリエン・ロッベンとの1vs1でカシージャスが2度に渡り窮地を救ったことが有名な話だが、そこで左SBのカプデビラは「人生で1度だけ、キリコーチョ!を使った」ことを明かした。「だからあれは全部カシージャスだけのおかげ、ではないんだよ(笑」

 そして2021年3月9日、ドイツ・ドルトムントにて行われたこの試合で、窮地に陥ったセビージャから、PKに臨むエルリング・ハーランドに対して、この呪いの言葉「キリコーチョ!」を浴びせられたわけだが、果たしてその結果は・・・?なんとGKヤシン・ボノがストップし、ハーランドもまたその呪縛に屈することになったのである。だがここで救いの手を差し伸べたのが、VARだ。それにより再び蹴ることになったハーランドに対して、再び「キリコーチョ!」が浴びせられるも、この言葉は濫用してはいけないもの。今回はきっちりとノルウェー代表はネットを揺らし、むしろ最終的にドルトムントの方が、前回のバス爆発物襲撃事件以来つづいていた、CL8強入りという呪縛から解放される結果となった。
 


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