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2019年11月20日

フランクフルト主将アブラーム、DFBは年内残り出場停止を支持

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 前節ブンデスリーガ第11節において、最も印象的なシーンとなってしまった、ダヴィド・アブラームによる退場劇。結局2万5000ユーロの罰金処分に加え、残り年内7週間にわたる出場停止処分と非常に厳しい判断が下されることになったのだが、これに対してアイントラハト・フランクフルト側は異議申し立て。その審議が火曜午前11時より行われた。

 審議は当初、比較的明るい雰囲気の中で行われており、裁判長を務めるロレンツ氏はアブラームに対して、アルゼンチンでのユース代表時代で同僚だったリオネル・メッシが当時から凄い選手だったのか?と質問。ユーモアも交えた会話がそこでは見受けられていた。だがその1時間半後に下された決断は、それまでの判決を支持する年内残り全休のままというもの。いったいどういった経緯がみられたのか?ポイントとなったそれぞれの発言と、監理委員会側の見方、そして判決理由とフランクフルト側の受け止めについてみていこう。

状況:フライブルクが1−0とリードしたロスタイム、フランクフルトの主将ダヴィド・アブラームがサイドラインにボールを取りにいった際、相手指揮官クリスチャン・シュトライヒ氏に対して、猛烈な勢いでチャージして突き倒し、その後は両チーム入り乱れての騒動に。アブラームの顔を掴んだ、フライブルクのグリフォにも3試合の出場停止処分が言い渡されている。

ダヴィド・アブラームの証言:「フライブルクのサイドラインへ、ボールを拾いにいった。残りのワンチャンスに賭けることに集中していたし、ボールのことだけを見ていたよ。ベンチから弾かれ、そして不運にもシュトライヒ監督の後ろへと転がってしまった。もちろんそこで相手監督にチャージすることに意味などない、ただあまりにボールにばかり意識がいって、監督の存在に気づくのが遅すぎたんだ。ピッチ上の時点で既に謝罪しているし、その後はロッカールームにいって容態について確認にもいった。それにシュトライヒ監督も僕の謝罪を受け入れてくれている」

ヴィンセンツォ・グリフォの証言:「監督がピッチに倒されてしまっているのを目にすれば、当然カッとなってしまうものだ。特に僕とクリスチャン・シュトライヒ監督との間には、特別な関係性があるわけだから。もうその時には騒動が起こっていて、その中で自分がアブラームの顔を掴んでいるという意識はなかったよ。決してあれはわざとなんかではないし、殴りかかろうなんて思ってもいなかった。ただ自分の監督があんな目に遭っているということは、初めての経験ではあったよ。」
ダヴィド・アブラームの証言:「誰かに顔を掴まれたという感覚は、特に僕自身は憶えなかった。あくまで僕の考えだけど、彼はただ距離を取ろうとしていたのだと思う。あえて何かをなすりつけようなんて考えは、僕にはない。」

フェリックス・ブリヒ主審の証言:「既に私は自身の見解として、あれは意図的なチャージであったとの見方を示しています。監督はコーチングゾーンの中に立っており、アブラームは決して止まることなく、監督の方向へと向かいぶつかっていきました。正直、私はプロのサッカーの世界で、あのような場面は目にしたことさえありません。」

クリスチャン・シュトライヒ監督の証言:「アブラームは非常に早く私の方へと向かってきた。とても熱くなりやすい気質をもった選手であり、実際にあの時は興奮していた。あの時は私はポケットの中に手を突っ込んでいて、ああいうことが起こるとは思わず体の力を特に強く固めていたということもなかった。ただあの後に関しては、できるだけ大事にならないように努めたよ。アブラームのことはとても評価している。ただあまり自制がきかないところもある」
 
 しかしながらこの審議を「作り話もいいところだ」と、苛立ちをもって聞いていたのがドイツサッカー連盟監理委員会のアントン・ナハライナー氏だ。「馬鹿げている」そう語った同氏は改めて、まずグリフォの行為に対して「あれが仲裁に入った行動だったと・・・?」と述べており、そもそも今回のアブラームの出場停止処分の程度についてもピッチ上かサイドラインで起こったか、刑量が少なくなるということ自体に対しても疑問を投げかけている。

 最終的にロレンツ裁判長は、「不注意で済まされることではない」としつつ、「悪意」はなく「早くボールを取ろうとした」にしても、それでもアブラームは「回避を怠った」と判断。これまでの判決をそのまま支持する形で審議を終えた。これに対してシックハルト弁護士は不満を示しており、その後クラブ公式日本語版は「アイントラハトは異議申し立てを行いました」と伝えた。なおSCフライブルク側は、グリフォへの異議申し立てを取下げている。
  


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