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2020年05月21日

「長谷部がいる」フランクフルト、柔軟性もって王者バイエルン戦へ

Eintracht Frankfurt
アイントラハト・フランクフルト
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 コロナ危機による中断前にも顕著に見られていた下降線は、リーグ戦再開後にもアイントラハト・フランクフルトの戦いの中で見受けられた。ボルシア・メンヒェングラードバッハを相手に1−3と完敗。このことを受け水曜日には、ブルーノ・ヒュブナーSDは課題を指摘すると共に、アディ・ヒュッター監督への後押しも強調している。

 特にグラードバッハ戦での試合序盤は、集中力の欠如と個人的なミス、そして選手間の間隔に開きが見られていた。確かに開始早々の2失点に関しては、コンパクトさの欠如によるものではなく、相手をうまく捉えきれなかった結果ではある。しかし相手陣内でテクニックに優れたグラードバッハがコンビネーションをみせる姿が頻繁に見受けられたこともまた事実だ。そしてグラードバッハがそのギアを下げたときにのみ、フランクフルトは多少の改善がみられている。ブルーノ・ヒュブナーSDは「これほど長期間の中断を挟み強豪クラブとの対戦となれば、自分たちの立ち位置というものが見えづらいものはあるし、加えて出だしで大きくつまづいたのだから、チームには不安が広がってしまうもの」と、この日に選手たちがみせたパフォーマンスについて擁護。その上で「前線での判断ミス」や「打開力の欠如」を指摘しており、フランクフルトのチャンスといえば、前半23分のコスティッチによるFK、後半開始早々の鎌田大地のシュート、そして一矢報いるにすぎなかったシルバの得点シーンほどしか見せ場は作れず、これでは強豪相手ではあまりに物足りないものだといえるだろう。

 「基本的には勇気をもって、強い気持ちをもってプレーして欲しい。そして後半最初の頃にみせていたような、コンパクトさを再び見せて欲しい」と、ヒュブナーSDは強調。「非常に残念な再開初戦」となった1つの理由としては、「しっかりとチーム練習を行う必要があったし、それは今冬の準備期間でも再確認できたものだ。ヒュッター監督は米国でチームたちに指導する機会があり、そこで我々は状態を上げて後半戦の戦いに入ることができていたのだよ。コンパクトだったし、得点力もあった」とヒュブナーSDは振り返る。「それが少し失われた。それはしっかりとトレーニングを行えなかったことや自分たちの立ち位置をうまく見出せなかったことにあると思う」

 ここで追記をしておくと、年末まで続いた過密スケジュールにより、ヒュッター監督はあまり戦術面で取り組むことができていなかった。その分をフロリダでのキャンプでの時間を利用し、自身が好む4バックの習得をはかっている。そして4−2−3−1システム、その後には4−3−3システムとした結果、チームは新たな安定感を手にすることに成功。しかし間も無くして再びその陰りがみえてくると、フランクフルトはさらに順位を落としていくことになった。

 そのため最近の戦いぶりを受けて、フランクフルトでは3−5−2システム復活の有用性への議論が再燃している。確かにフランクフルトでは、長年に渡りこの方向性で成功をおさめてきた現実から、この発想は魅力的にも聞こえるだろう。だが年末にはそのフランクフルトは、3−5−2システムによって負け込んでいた時期があったことを忘れてはいけない。つまりヒュブナーSDの指摘は正しいということになる。「そう簡単に失点を重ねるようでは、それはシステムの問題ではなく、集中力や取り組む姿勢の問題だ。とはいえ、3バックでは我々は豊富な経験を有しており、それに長谷部誠がいる。常に選択肢だよ」

 しかし長谷部誠は4−3−3システムの底のボランチとして、二人のCMFの背後に回り時に3バックも作りながら活躍をみせることができる。そしてボールをもった際には少し前にでて試合をコントロールしていくというこのスタイルは、2018年のドイツ杯決勝バイエルン戦でも見事に披露したものだ。その時にはフランクフルトは4−3−3システムでスタートしたが、その中で長谷部誠はある時は5バックへと切り替えるなど時間帯に応じて対応をみせており、この方向性、柔軟性は、土曜日に控えるバイエルン戦でもクレバーな選択肢だといえるだろう。「システムは確かに重要な要素だ。しかし全体的なチームのパフォーマンスが決め手になる。我々としてはそこに取り組み、コンパクトさを手にして、自信をもってオフェンスに臨み、そして前線では躊躇なく取り組めなければならない。フィニッシュを模索し、そこで正しい判断を下していくということ。それを我々は取り戻していかなくてはならないのだ」

 そう強調したヒュブナーSDは、ヒュッター監督への疑問は持ちたくはないとも考えており、「監督へ100%納得している。彼は優れたコーチだ」とコメント。そしてフランクフルトは残留争いは無縁の立場にあるとも考えており、「適切なトレーニングさえ行えれば勝点はついてくることだろう。それならば残留争いに飲まれることはない。それが我々も目標であり、それができると信じて取り組んでいる。それだけのクオリティはあるんだ。あとはそれを発揮するだけ。パフォーマンスが発揮できたその時には、必要な勝点も重ねていくことができるだろう」と言葉を続けている。

 基本的にはその見解は正しい。しかしフランクフルトが今回のバイエルン戦で勝点を得られなければ、状況はさらに深刻なものへと陥っていくかもしれない。来週火曜に控えるフライブルク戦が、非常に重要な意味をもつことだろう。確かに今の残留争いの展開をみている分には、最終的には勝ち点を40にまで伸ばす必要はないかもしれない。しかしいずれにせよ油断は禁物だ。ヒュブナーSDは「バイエルン戦でいい戦いをみせて、そして火曜日のフライブルク戦では必ず勝利をおさめてくれると信じている」と期待感をみせたが、それは数字でみる楽観論のようにも聞こえるがそれ以外の方法もない。悲観的な姿勢でミュンヘンでの試合に臨み、そしてそこで勝利をおさめたクラブはおそらく存在はしないであろうから。
 


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