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2020年08月14日

遠藤渓太「パン食が増えて」も「あらゆる壁を越えていく」

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1. FCウニオン・ベルリン
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 遠藤渓太がドイツに来て、およそ2週間が経過しようとしている。当時は過度伸展を抱えていた為に、スピードとドリブルに長けたウィンガーは数日に渡り、軽い練習プログラムをこなす程度にとどまっていた。それでも水曜日、遠藤はブンデス2部ヴルツブルガー・キッカースとのテストマッチにて初お披露目。ウアス・フィッシャー監督からは賞賛の言葉が送られている。「渓太はその資質を垣間見せたと思うね」だがその一方で遠藤自身は、申し訳なさ気に「まだ少し遅れ気味なところがあります」と語った。

 この発言のみならず、これまでの多くの日本人選手たちが見せていたように、遠藤は謙遜気味に礼儀正しく振る舞う一方で、決して心を閉ざしているということではなく、非常に好感を我々に与えている。それでも「あまり話さないような印象を与えているのでは」とも危惧しており、その理由として海外移籍により全てが新しく、不慣れで、そして高い期待感から「多少のプレッシャーを感じている」事も明かした。

「僕は当時の香川選手よりも小者です」

 まさにウニオンの首脳陣たちは、その重圧から開放していきたいと考えているところであり、そのためウアス・フィッシャー監督や、マネージャーを務めるオリヴァー・ルーネルト氏は遠藤に対して我慢の必要性も訴えている。そこでルーネルト氏は先日、10年前に当時は無名だった香川真司の名前を挙げて説明。「はじめのうちは、うまくいくはずがない。何にもならないだろう、なんて言われていただろう?そうしたら、彼は世界的スターになったではないか」ただこの発言について、遠藤自身は笑顔を浮かべながら、「あの時の香川選手と比べて、僕はまだまだ小者ですよ」と答えた。

 果たして成長曲線という点でも、遠藤は香川と同じ軌道を描くことになるのか?それはこれから見ていくことになるだろう。ただ横浜Fマリノスから加入した新戦力は、海外挑戦に踏み出す為に十分な準備をしており、非常に意識的に今回の決断を下している。香川真司や清武弘嗣など、長年に渡りブンデスで通訳を務めてきた山森順平さんは、遠藤渓太の印象についてこのように評している。「渓太は決して自分を曲げることなく順応しています。冷静で、様々なところをしっかりと観察している。障害を乗り越えていくため、精神的にすでに準備ができているようにみえますね」

新しい言語、異なる食生活

 その障害として挙げられるのは、当然のことながら言葉の壁ということになるだろう。そのため遠藤は今夏の合宿(8月17〜25日)においてもすでにドイツ語の授業を受けることになっており、さらに食習慣といった部分についても対応が求められているようだ。日本食とドイツの食事における違いについて尋ねられた同選手は、「ご飯を食べる機会が少なくて、パンが多いことですかね」とコメント。そしてサッカーの面でもブンデスリーガ、そしてウニオン・ベルリンが掲げるサッカーにうまく順応していくということ。「乗り越えていかなくてはならない、たくさん障害を克服していく。その覚悟はできています。」そう語った遠藤は、様々な言葉を巡らし総括して、「自分自身を馴染ませていくということが、重要だと思います」と述べた。
 
 その新しい環境へ馴染んでいくということについては、おそらく現時点において最初の進展はみられていることだろう。チームメイトのクリストファー・レンツのサポートもあり、例えば新らしい住まいをみつけたり、またベルリン市内のダウンタウンへちょっとしたお出かけをした際には、真夏の気温の中でシュプレー川にて日光浴をするたくさんの人々を目にしたという。「ここではみんな、幸せそうに暮らしていますね」

 ただベルリン市内の交通事情を知ってしまうと、そんな考えは少し変わってしまうことだろう。ベルリン市民に親しみやすいというイメージは、あっという間に崩れてしまうかもしれない。加えて車の運転については、日本の左側通行とは逆の右側通行。遠藤も「最初のうちは問題かもしれませんね」と語っている。

買い取りオプション付きのレンタル移籍
 
 海外挑戦におけるこれらの問題や、それを克服していくために、遠藤にウニオンで与えられた時間は1年だ。買取オプションも付随している今回の移籍は、2021年6月末日までの期限付きとなっており、ただその一方で遠藤が思い描くように事が運ぶならば、それ以降にも海外での冒険は続きを迎えることになるだろう。遠藤は「今のところはまだ、マリノスに戻ることを考えている場合ではありません」と意気込みをみせた。


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