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コラムソース: |  2022年05月05日

アトレチコでもインテルでもない、全盛期のドイツ代表DFが”サッカー面”でフライブルクを選んだ理由

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.ドイツ代表
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 SCフライブルクといえば長年に渡り、その非常に優れた選手育成・技術によって、常に利益を生み出し続けていることで知られるクラブだ。最近でもその好例の1つとして、ニコ・シュロッターベックの名前を挙げることができるだろう。22歳の若きドイツ代表は、来季よりボルシア・ドルトムントにて更なる高みを目指していくことが既に発表されており、その移籍金額は2500万ユーロにも上るともいわれている。

 そして本来ならばここでフライブルクとしては、この穴埋め人事へと追われてまずは、一度完全に振り出しへと戻りそこから再び、じっくりと育成して近づける若手選手の育成へと着手していく・・・、はずだった。だがむしろそこで発表されたのは、28歳のドイツ代表DFマティアス・ギンター獲得。確かに移籍金の支払いは不要とはいえ、それでもチーム全体のサラリーが4000万ユーロほどと言う事を踏まえれば、ギンターのような高額サラリーの選手を迎え入れることが衝撃的であるかはかり知ることができるだろう。

 ただ思い切った決断を下したのは、何もフライブルクだけではない。ギンター自身もまた、これまで所属したグラードバッハ時代はもとより、今回の移籍市場においてドイツ代表DFの獲得へと動いた錚々たる面々、アトレチコやインテル、ASローマなどの提示金額よりもはるかに低い金額で、決して国際舞台で常連とはいえない規模のクラブへの移籍を決断したのである。しかも28歳という、サッカー選手として脂が乗った時期であるにもかかわらず、だ。昨今の移籍事情を見る限り、そう簡単に納得のいく決断ではないのかもしれない。

信頼できるコーチ、落ち着いた環境、温かなファン

 しかしながら金銭やクラブの名前に流されることなく、今回ギンターが決断した理由となるもの、それは本当にサッカーにおいて何が大事なのかというロマンの追及に他ならない。特にドルトムントやグラードバッハでも味わったような監督交代劇による煽りから抜けだし、これからはかつてAユース時代で優勝を果たしたクリスチャン・シュトライヒ監督の下、その専門知識の高さとプロフェッショナルな仕事ぶりで高く評価するコーチ陣と共に取り組んでいくということ。

 なによりギンターとしてはまずは、今季ボルシア・メンヒェングラードバッハと共に、精彩を欠いてしまった自らのパフォーマンスの改善をはかっていかなくてはならない。それこそが最優先課題となるものではあるが、ただそこには2018年から慈善活動を行い恵まれない子供達のケアに熱心に努めてきた、ギンターが心から愛する地元フライブルクの人々からの、温かな後押しが大きな力となってくれるはずだ。
 


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