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2018年12月29日

2部降格の瞬間に延長を決意した酒井高徳「僕は逃げない」

Hamburger SV
ハンブルガーSV
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 「僕は、今でもはっきりとあの日のことを思い出せる」酒井高徳はヴェルト紙に対して、今年5月12日に本拠地フォルクスパーク・シュタディオンにて行われた決戦について、そう振り返った。確かにここのところは残留争いの常連と化していたハンブルガーSVではあるが、これまでブンデスリーガの歴史において55年にわたり、常にその名を刻んできた名門クラブでもある。

 「ラバディア監督の下でも、ギズドル監督の下でも、僕たちは何とか土壇場で降格を免れることができた。確かにいろいろと書かれたけど、でもティッツ監督になってまた息を吹き返したんだ」と酒井。ただ過去2年間との大きな違いは、この最終決戦となったグラードバッハ戦では「自力での残留は不可能」な状況にあり、入れ替え戦進出となる16位ヴォルフスブルクと最下位が確定したケルンとの一戦次第であったということだった。

 それでも「前半終了時点では互いに1−1で、奇跡の実現に期待を抱かせる展開だったし、ホルトビーが勝ち越し弾を決めた時はより一層その気持ちが高まった」とものの、「でもまもなくしてもう手が届かないところにまでなってしまったと気づいたんだ」と酒井。ヴォルフスブルクはハンブルクより一足早く4−1でケルンから勝利を収め、クラブ史上初となる2部降格は既に確定していた。「もう何も考えられませんでした。降格という現実もピンと来なかったくらいに」

 ただまだ試合中にあったハンブルクだったのだが、これを受けて北側の観客席からは、一部のグループが煙弾をピッチに投げ込み、いたずらにただ2部降格を告げる試合終了のホイッスルだけが先延ばしとなる結果に。だが実はこのとき、酒井は「ずっとハンブルクに残るか考えてたんですけど、この時に決心がつきました。このままハンブルクを去るわけにはいかないと。確かに他クラブからのオファーはありました。でも自分の気持ちに従おうと思った」と明かしている。

 「スタジアムにきてくれたファンのその大半は、本当に素晴らしいものでした。『どこのリーグで戦おうとも僕たちは一緒だ』とのメッセージは、キャプテンとしてクラブ、そしてチームに対して責任を感じていた僕の心に深く響くものだったんです。僕は苦境に喘ぐクラブから逃げだすような、自分のことしか考えない選手なんかじゃない。僕はハンブルクを、ここのファンを、そしてこの街を愛していると」

 それで「試合終了の直後に、契約延長を宣言したんです」という酒井は、「クラブの即座の返り咲きというプロジェクトのその一端を担いたかったんです。それが今回の明確な目的であり、これまではいい形でこれているとは思います」と述べ、「ただ決して気をぬくことなく、最後まで上にたち続けていくということが重要なんです」と、後半戦にむけて意気込みをみせた。
 


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