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コラムソース: |  2022年05月25日

ブンデス史上最高の投資があわや水の泡、首脳陣刷新で新時代創設を期すヘルタ・ベルリン

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 ちょうど2年前のことだ。ヘルタ・ベルリンのインゴ・シラーCFOは、コロナ禍の最中にありながら「我々はチャンスを手にする側にいる」と宣言したのは。投資家ラース・ヴィントホルスト氏が所有するテノール社が参加し「全く異なる財政基盤を手にした」ヘルタ・ベルリンでは、ドイツの首都ベルリンで『ビッグシティ・プロジェクト』を発動。他クラブが財政難に喘ぐ中で、ヘルタは合計3億7500万ユーロというブンデスリーガ史上最大の投資を受けていたのだ。

 だがそれから2年。ヘルタ・ベルリンがいたのは国際舞台でもブンデスリーガ上位争いでもなく、ブンデス2部ハンブルガーSVとの入れ替え戦。最終的には残留を果たしたものの、このクラブが抱える競技面、財政面、戦略面、コミュニケーションの面においていかに大きな問題を抱えているかを改めて露呈する場となったともいえるだろう。ビッグシティ・プロジェクトがどこまで計画されていたものかはわからないが、ただ計画されたものであったならばその内容はいまだ表には隠されたままだ。

 投資家ヴィンドホルスト氏とゲーゲンバウアー会長の問題はヘルタを震撼させる内部闘争劇となったが、前者にも多少なりとも姿勢や言動、支払いの若干の遅れなど問題があったにせよ、クラブにとっては彼の投資なくしてコロナ禍を生き抜くことさえままならなかった。だがそれを足蹴にするような態度を会長が見せたことは、ボビッチ競技部門取締役がわざわざロンドンへと赴き、ヴィンドホルスト氏をなだめにいった事実からも異常さが伺い知れるというものである。

 これまでゲーゲンバウアー会長の下でヘルタは14年間のうちに、2度ブンデスリーガ2部降格を喫してきた。何年も不遇の時を過ごしてきた結果、ビジョンもなく、メンタリティもなく、高額な投資と内部闘争、それにつれそれぞれの距離感が広がり、遂にはクラブのパブリックイメージまでも傷つける事態にまで発展した。ただ忘れてはならないことは、ゲーゲンバウアー会長は就任当初、資材を投げ打ってクラブの再建に努めた立役者であるということ。それがなければ倒産の危機へと陥っていたのもまた事実。

 だがいずれにしても近年立ち往生を続けてきたクラブにとって、ゲーゲンバウアー会長とシラーCFOの退任は、これからクラブが安らぎを得ていくための1つのシグナルであり、その可能性をさらに高めていくためのものでもあるといえよう。新しい風を吹き込み、新しいトップが登場し、この混沌に満ちた時代を教訓として、新時代を作り上げる、そのチャンスでもあるのだ。月曜日に果たしたヘルタ・ベルリンのブンデスリーガ残留という成果が、そのきっかけとなることを信じて・・・。
 


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