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2021年02月05日

激震のケルン:新メディア担当発表に、ファンからは猛抗議

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 たいていの場合、ブンデスリーガのクラブで新たにメディア・ディレクターが配置されることに、さしたる注目が集まるようなことは滅多にあるものではないが、しかしながら今の1.FCケルンの状況は大きく異なる。長年に渡り同職を務めてきたトビアス・カウフマンが昨秋に後にし、数ヶ月に渡り空位となっていたこのポストの後継として、フリッツ・エッサー氏が5月1日より就任する見込みとなったのだが、水曜午前には一転、それが見送られるという事態へと発展したのだ。

 最近では物流企業に従事する39才のエッサー氏は、それ以前には9年間に渡りドイツの大衆紙ビルトにて勤務。その頃に歴史を捏造した右翼政党の議員のツイートに拍手を送ったり、政府の難民政策へ厳しい言葉で批判などを投稿。またケルンサポーターに対して辛辣な批判も行っており、そんなエッサー氏の就任がクラブのイメージを損ねるというファンの懸念は当然理解のできるものだ。そこで著名人や政治家らを含む、ケルンファンたちがオンラインにて、就任を見送る嘆願書を募っており、最終的にケルンはそれを受け入れる判断を下している。

 ヴェルナー・ヴォルフ会長とアレクサンダー・ヴェーレ取締役は、連名という形でプレスリリースにて「選考過程に誤りがあった。発表から、事前に確認すべきであったという批判の声が寄せられている」と明かし、「会員、ファンの皆様にお詫びを申し上げる。我々はエッサー氏が、民主主義的な価値観をもった誠実な人物だと考えていた。しかしながら密に話し合いを行った結果、これから共に仕事をすることは控えることになっている」と説明した。

 そもそも前述のカウフマン氏の退任については、ケルン首脳陣の責任のスケープゴートにされたとの見方がなされており、その後に暫定的に後任を担っているホマイヤー氏とヘッドハンターによってエッサー氏に白羽の矢が立ったものの、このことがカウフマン氏の退任に難色を示していた役員会に知らされれないまま、行われていたという背景もある。その結果、ファンから就任の反対署名が行われるという異例の事態へと発展をみせるなど、改めてケルンのクラブ首脳陣の問題を露呈した形ともいえるだろう。

 一方でエッサー氏は、「ここ数日、私はSNSを通じてナチスや、右翼政党の信奉者としての、非常に不当な侮辱を受けてきた」と批判を述べ、就任を見送った理由として「本来PR担当が目立つようなことはあってはならないこと。いかにケルンを発展させるかが重要であるべき」と説明。その上で改めて自身が自由、民主主義を強く支持していることを強調している。なおケルンが今後、どのような対応をみせていくかは、まだ不透明となったまま。
 


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