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2020年12月27日

フロリアン・ヴィルツがみせる「異常」なまでの急成長

Bayer 04 Leverkusen
バイヤー 04 レヴァークーゼン
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 2020年最後の1週間は、フロリアン・ヴィルツにとってまさに激動の1週間として幕を閉じることとなった。今年レヴァークーゼンに現れた新星はホッフェンハイム戦、そして1月まで在籍していた古巣ケルン相手にも連続得点をマーク。ブンデス首位として意気揚々と臨んだ王者バイエルンとの首位攻防戦では、敗戦による首位陥落という失意の中で年越しを迎えることになったのである。

 ヴィルツのその華々しいキャリアの幕開けは、今からわずか半年前のことだ。コロナ危機によるリーグ戦中断明け後、ブンデスリーガ史上3人目の若さでデビューを果たした17才の若武者は、間も無くして王者バイエルンを相手に当時のブンデス最年少得点記録を樹立。いまやレヴァークーゼンにとって不可欠な存在として、4−3−3システムの中盤からチームに刺激をもたらす存在となっているところだ。

 オフェンス時にみせる沈着冷静さ、困難な状況でもみせる高い力、そして若いながらもその強靭さを持ち合わせ、チームへリズムを作り出しているヴィルツ。「ここでは決して、才能をもった選手だからという理由でプレータイムをもらえるわけではない。彼はまさにキープレイヤーだ」と評するのは、守護神ルーカス・フラデツキーであり、「今季最大の損失はヴィルツだ」と語るのは、対するケルンのザウレン取締役である。

 ただレヴァークーゼンがこの冬に提示したパッケージは、ヴィルツにとって完璧なものだったに違いない。金銭面での好条件のみならず、ヴィルツのサッカーにおいて理想的なチーム構成と監督、そして早期の出場機会獲得への見通し。レヴァークーゼンではこれまでにも、ユリアン・ブラント、ベンヤミン・ヘンリクス、そしてカイ・ハヴェルツらが、10代のうちに大きな飛躍を遂げてきたという実績があった。

 とりわけハヴェルツに関しては世紀の才能とさえ目されるほどの逸材ながら、ヴィルツはそれをも凌駕する勢いで成長を遂げている。それはこれまでの得点数、アシスト数、出場時間や先発回数など、全ての面において明らかなものであり、ユースセンター長を務めるイェルグ・ヤコブス氏は「なんでもできる選手だ。特に怪我なく過ごせれば、最低でもハヴェルツのレベルにはなれる」と太鼓判を押す。


 その大きな期待感の現れこそ、この夏にそのハヴェルツをチェルシーへと売却しながら、特に大きな補強を行わないという勇気ある決断へとつながったのだろう。重圧に晒されながら、ここまでkicker採点平均2.77と驚異的な安定感でチームを支える17才について、同僚のユリアン・バウムガルトリンガーは「怖気付いたり不安をもつようなことはない。良い意味で遠慮がない。またあの年齢の割にはフィジカルに長け、あれは10代の選手みせるようなプレーではない」と評価。「ハヴェルツについても言えたけど、メンタリティという意味で別格だね」と言葉を続けた。「こんなにも短期間のうちに定着してしまうなんて、異常事態だよ」
 


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