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2021年07月06日

カーン氏が語る、バイエルンの野望とコロナ禍での警告

FC Bayern München
バイエルン・ミュンヘン
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 7月1日よりオリバー・カーンが、カール=ハインツ・ルンメニゲの後任として、新たに体表取締役へと就任したが、たとえ経営陣が刷新されたとしても、バイエルン・ミュンヘンが掲げる目標は明確だ。それは常に最高の目標へと向けられたものであり、ハイナー会長は、新CEOとなった元ドイツ代表GKオリバー・カーン氏について「現役時代には歴史にその名を残したが、今度は代表として同じことをしてくれるだろう」とクラブが歩むであろう険しい道のりの中で、期待。

 現在ハイナー氏とカーン氏は、ウリ・ホーネース氏とカール=ハインツ・ルメニゲ氏のコンビの後を継ぐという大役を担っているところであり、それは本人も自覚するところ。「確かにね」とカーン氏。「でもそんなに大きいなら、必ずしもそのまま跡を継がなくてもいいのではないか?人は別の道を歩むことができる」とは言うものの、ヘーネス/ルメニゲ体制によってバイエルンは「世界最高のクラブの1つ」となっただけに、今回の任務が「大きな挑戦」であることには変わりない。

 特に今回はコロナ禍という、未曾有の困難な条件下で職務を遂行していくことになるのだ。「サッカー界の状況はかなり変化している」とカーン氏。その最初の課題として、観客は「徐々に」ではあるが取り戻したいと考えているところであり、ハイナー氏はブンデスリーガ開幕時の観客数が、今後の親善試合で承認されている1500人よりも「はるかに多くなる」ことを想定する。

収益損失は1億5000万ユーロ?「それで目標を変えるわけではない」

 この1年半にも及ぶパンデミックに影響により、ドイツ歴代王者もまた財務への被害を避けることなどできず、1億5000万ユーロの収益損失の見込み。だがこれほどの巨額の損失にあってもなお、バイエルンは競技面におけるあくなき向上心を失うようなことはなく、kickerの質問に対してハイナー会長は「このような事態へと陥っても、決して我々の意欲が衰えるようなことなどなく、是が非でもブンデスリーガ10連覇を達成したい」と強調した。

 そしてカーン氏はさらに、バイエルンとしては「常ににチャンピオンズリーグでも優勝を狙いたい」と考えている。「絶対的なワールドクラスのサッカーをお見せしていきたい」「ワールドクラスのファン体験を提供していきたい」という野心は、「今もなお決して揺らぐことのない」ものであり、それと同時に人材育成もまた「非常に重要な要素になっていく」と、両名ともに念頭においているところ。「そして我々は彼と共に新しい時代を開拓していけると強く確信している。」

 さらにその達成のための条件は既に揃っているとも胸を張り、「このチームは本当に大きなクオリティが備わっているよ」とハイナー会長。「我々はこのチームに対して全幅の信頼を置いている」とカーン氏もこれに同調した。これに加えてナーゲルスマン監督には若手選手をさらに成長させることも期待されるが、ただそれは自軍のトップチームでは困難であり、レンタル移籍での回り道を経ていくことになるだろう。

 ただそもそも現在のチームのまま、これからもバイエルンは戦い続けていくことができるのだろうか?レオン・ゴレツカ、キングレイ・コマン、ジョシュア・キミヒ、セルゲ・ニャブリ、ニクラス・ズーレとはいまだなお、契約延長締結までに至っていない。一方でバイエルンは過去数十年に渡って、競技面の成功と財政面の成功を「信じられないほどにうまくとってきた」とハイナー会長は語っており、「この道を変わらず歩み続ける」覚悟なのだ。

バイエルンは「売る側のクラブではない」?カーン氏は慎重

 確かにカーン氏は、既存の戦力であれば前述のチャンピオンズリーグ優勝という巨大な目標でさえ「達成可能」と見ているものの、同時に「絶対的なトッププレーヤーも、それに見合った報酬を求めるもの」と説明。「そのことについて我々が決して大きな顔をするつもりはない」ともしており、アラバの場合に実際に態度を固辞したように「バイエルンは、ある時点でそれ以上の動きをしなくなった」。なおゴレツカとコマンについては「とても良い話し合いをしている」ものの、やはり「クラブとしては確固たる哲学をもち、ある時点で決断は下さなくてはならないもの」と警告。「我々にも限界はある。そこははっきりとさせている」
 
 一方でこれまでに前任者であるルメニゲ代表は、「バイエルン・ミュンヘンは決して、売る側のクラブではない」と頻繁に発言を繰り返してきたのだが、カーン氏はこのことについて「永遠に続く、という部分に関しては慎重にならざるを得ないだろう」と表現。ティアゴやダグラス・コスタのような名前にも言及し、特にコロナ禍にあっては状況の進展に応じて「適宜対応しなければないない」との考えを示した。そのためこういったケースが、これまでよりも高い頻度で目にされることになるかもしれない。
 


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