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2021年11月27日

罵声と怒号のなか閉幕した「バイエルン最悪の1日」

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 数多くの優勝杯、そして讃美歌に囲まれた当初の年次総会。開会の挨拶をしたヘルベルト・ハイナー会長は、これらタイトルがバイエルンの取り組みの素晴らしさを象徴していると胸をはり、また欧州トップクラブながら「外部からの決定権はなく、独立している」ことも強調。「アリアンツ・アレナ、バイエルン・キャンパスを100%所有している」ことなどを指摘した。「目先の成功に囚われて経営に対する真摯さを失うことはない」だがこの言葉も虚しく、最後には大きな動きの中で終了を迎えざるを得なかった。この日の9番目に掲げられたある会員による動議は、数週間前からそのミヒャエル・オットー氏によって訴えられていた、カタール航空とのスポンサーシップの反対に関するものであり、木曜夜に壇上へと上がった同氏はその考えを高らかに発表している。

 ただ逆にいえば、彼にはそれしか方法がなかった。裁判所からのバイエルンに対する訴えが拒否されてしまったために、オットー氏には75%以上の賛成を得なくてはならない自発的動議という選択肢しか残されていなかったのだ。だがこれもディーター・マイヤー副会長が代表を務める役員会から拒否。その理由として、「ここで違法な動議を採決することは許されない。ミュンヘン地方裁判所は今日、総会には権限がないという判断を下している」と説明した。これに加えてコロナ禍の影響により、会員数29万人のうち780人しか集まっていないこの場において、十分な意味をもつことができないとも主張。「今日、この動議が認められなかったことについて、裁判で訴えるのであれば、ご自由にどうぞ」と、その後に投げかけられた言葉で、むしろ会場から大きなブーイングの嵐を呼ぶ結果に。

 さらにオットー氏は最初の動議が否決された後、事前に用意していた2つ目の動議を発表。それは投資家の影響力が強くなりすぎないよう、バイエルンの株式が75%を下回る場合には、会員の同意が必要となるよう規約の修正を求めるものだった。(従来は70%)1つ目の動議が否決されたことを受けて、オットー氏は今回はクラブのことへより目的意識をもたせた内容を提示。とりわけコロナ禍にあって、実際にバイエルンの首脳陣が指摘するように、この5%の差が大きな影響を及ぼす可能性が十分にあるためだ。オリヴァー・カーン代表取締役は「この5%の可能性を失う考えはない。投資家を募集しているということではないが、ただもしそれが実際に起こったとしても、彼らはクラブを前進させるためのパートナーなのだ」と述べている。


 そしてしばらくして行われた採決では、最終的にオットー氏は必要とされていた3分の2の賛成を得られずに失敗。そのため会場からは再び大きなブーイングと罵声が、終了するときまで続けられており、ドイツ王者にとって不名誉な記憶として残されることになるだろう。ヘリベルト・ハイナー会長は、まだ発言の希望が残されていたのも関わらず、なかば唐突な形で会議終了を宣言。その場にいた会員たちは全く理解できず、「我々はバイエルンだ」と合唱。そしてはじめて、会場の会員の多くが「ハイナー、出ていけ!」と叫ぶ事態にまで発展してしまった。この様子を最前列に座っていたウリ・へーネス前会長は、愕然とした面持ちでみており、kickerに対して「いったん寝て落ち着かないと。これは私がバイエルンで経験した中でも、最悪の出来事だった」と肩を落としている。
 


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