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2021年12月05日

ドイツ頂上決戦、主審の判定にドルトムントから不満爆発

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 10分間に渡るロスタイムを経て、注目を集めたドイツ頂上決戦の試合終了のホイッスルを吹いた時もなお、フェリックス・ツヴァイヤー主審にとってはまだ彼の仕事は終わらないという覚悟をもっていたはずだ。本来ならばこのようなトップマッチでは、主審はできるかぎり目立たない存在でありたいものだが、試合後ドルトムントの選手、コーチらスタッフからは激昂する様子が見受けられた。

 特に問題となったのが2つの場面。後半74分にフメルスの肘へとボールが当たったことが、VAR介入の結果でPKとなったこと。そして後半53分にエルナンデスがロイスを倒した際には、VARが介入することなく試合続行となってしまったことである。マルコ・ロイスは試合後、バイエルンに与えられたPKについて「50:50の状況だったと思うから悔しいね」と吐露。だがより悔しさが募るのは、「僕のあの場面も50:50だ。だから彼にチェックを促したが、それでも彼からは「上半身への軽い接触」という説明が返ってきた」ことだ。「だから、せめて見てみてほしいと伝えたんだけど」

 試合後にツヴァイヤー審判員も、改めてこの2つのプレーについての説明を行なっており、まずフメルスのハンドの場面についてVARへと尋ねた理由は、「試合中に、すでに触ってた事自体には気付いていたが、ただ腕が伸びていたかどうかについてはわからなかった。そこで、VARに確認をとった」とのこと。そしてそのVARを務めたトビアス・ヴェルツ審判員からは「腕を体から遠ざけた不自然な姿勢」との答えが得られたためにPKとしたという。一方でロイスのプレーについては、「上半身への接触」として判断し「PKとはしなかった」と説明。そのような対人戦も試合の流れで流している現状について訴えた。そして上半身以外の接触の確認をVARにとったところ、ヴェルツ審判員からは否定的な答えが返ってきたという。


 しかし映像ではエルナンデスがロイスの脚部にぶつかっていることが確認でき、改めてその様子を見たロイスは、「そうなのか・・・。試合中にはそこまで明確なプレーとは思わなかったけど、でもこういう風に見てみると、少なくとも主審にはビデオをチェックすべきだったと言えるだろうね。ただ試合中にはそこまではっきりと感じなかったけど」とコメント。さらにフメルスのハンドの場面についても、試合後にエムレ・ジャンが主審から「自然な」体制であったと当初は説明していたという発言も踏まえ、いずれにせよこの議論が収束することはしばらく無いだろう。さらにジャンは「こんなPKで試合が決まってしまうのは残念」としつつ、「残念だけど、でもバイエルンではこういうことが以前から多かった」と、”バイエルン・ボーナス”を匂わせる発言も展開。


 さらにエルリング・ハーランドは母国ノルウェーのTV番組にて「大事件」と述べ、ツヴァイヤー主審が「高慢だったとしか言いようがない。」と批判。また同局に出演したジュード・ベリングハムに至っては、「試合の多くの場面」に対してツヴァイヤー審判員への批判を口にしており、さらに2004年に起こったホイザー審判員による八百長スキャンダルに、2014年にツァイト紙が同氏の関与と出場停止処分を報じたことを示唆。「そんな審判にドイツ最大のビッグマッチを任せるんだ。何を期待しろというんだろうね」と言葉を続けたのだ。おそらくベリングハムの発言に関しては、ドイツサッカー連盟より処分がくだされる可能性が十分にあるだろう。

 
 ただすでに処分を受けているのが、ドルトムントのマルコ・ローゼ監督、2つの場面でいずれも激昂をみせ、ツヴァイヤー審判員からその度に警告。マリクACによる体を張った制止も実らず、最終的に退場処分となってしまった。試合後、スカイに対して指揮官は「とにかく残念でならない。この試合があのような判定で決まってしまうとは。別の判定であれば、我々は結果として報われることができたかもしれないのに」と吐露。「本来はもっとサッカー自体について話したかった。両チームともに見所を作った頂上決戦だったというのに」と述べ、ただ退場に関しては「もちろん褒められることではないさ。自制すべきという意見もあるだろう。ただ今季の自分はとても良い状態をキープしていた」と説明。「でもこの大事な試合でのアンフェアな扱いで爆発してしまったんだ」と言葉を続けている。

  
 しかしバイエルン側の見方は少し、異なるようだ。トーマス・ミュラーは、このようは判定が下されることは、サッカーの世界における一部であると主張し、「確かにこういう判定によって、これだけの激しい試合が決まってしまうのは辛いだろう。悔しさ、怒りの気持ちは、僕にもよくわかる。でもいずれの場面における判断にも、僕にはツヴァイヤー主審の判定には理解できるところもある」とコメント。ユリアン・ナーゲルスマン監督はより明確で「私の見方では、彼が腕でボールに向けているという点から、議論の余地などないと思っている。意図的に行ったものではない、ハンドとなったプレーだ。腕を90度の角度で体から離して、伸ばし、その後に腕でボールを弾くという行為なのだ。議論の余儀などない」と語った。


 いずれにせよ今回のバイエルンの勝利により、2位ドルトムントとの差は勝ち点4にまで拡大。前半戦を首位で折り返すため、残された試合はあと3試合のみとなっている。レオン・ゴレツカは「試合前にはロッカールームで、今日ここで勝利し勝ち点3を得られれば、その数字以上の価値があると話していたんだ。そして今日はその勝ち点3以上の価値があったと思う。ドルトムントとの一戦は常に威信をかあけた決戦であり、ドイツの覇権を争うという意味もあるんだ」と喜びをみせ、ナーゲルスマン監督も「明らかにこれはビッグポイント。だがこれで何か決まるわけではないが」と指摘。そして改めて試合について、「決して立ち上がりは良くはなくドルトムントのカウンターも危険だったが、それでも多くのチャンスを作れていた。優勢だったし前半はもっとリードするべきだったと思う。」と総括。


 そして「後半の出だしもつまづきをみせたものの、負傷者もあってリズムが崩れた。ただ全体的には勝利に値するものだった」と説明。その交代を余儀なくされていたリュカ・エルナンデスについては、ヴォルフのシュートをブロックした際の痛みで治療を受け、ズーレとの入れ替えとなっていたが、ナーゲルスマン監督は「基本的には大丈夫だ」と大事には至っていないことを明言し、むしろあれからドルトムントがよりリスクをかけてくることを想定して、「予防的措置」を講じたことや、「スピードのある新しいセンターバックを投入する」という考えが、入り混じった結果での交代であったことも強調している。
 


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