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2020年01月01日

完全菜食主義で改善:ゲルハルトとドイツ代表ヴァルトシュミット

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 昨年の10月にてドイツの国営放送ZDFで紹介された、トップアスリートによる完全菜食主義に関するTV番組より、主にブンデスリーガーの部分を抜粋した形で内容を紹介する。

 ブンデスリーガVfLヴォルフスブルクにて、料理を担当するシェフ、マルヴィン・メンテ氏。選手たちの食に対する趣味・趣向は、決して同一のものに限られるものではなく、極端なところをあげるならば例えばヤニック・ゲルハルトに関しては、全く肉類や卵、乳製品、はちみつさえも口にしない完全菜食主義(ビーガン)だ。

  そのなかでその栄養構成として、主に利用されているのが、様々な種子やそば粉、さらにそら豆といった豆類などである。本来ならば栄養構成にあたり、魚類なども必要不可欠な食材であり、ゲルハルトはアミノ酸やオメガ3脂肪酸といった栄養素を、別の形で補給していく必要がある。「僕の体はキヌアやそば粉などからできている。それにビュッフェにいったら、豆類なども含めて、素晴らしいメニューがそこに並んでいるしね。」と、ゲルハルト。

 そしてパフォーマンスとしても結果は数字に表れている。昨シーズンのゲルハルトは、怪我なくシーズンを過ごすことができており、さらにチーム内で最長の総走行距離を記録。つまりはたとえビーガンであろうとも、トップレベルのプロスポーツの世界でやっていけることを示しているのだ。

 ゲルハルトが刺激を受けた人物が、2017年に当時ヴォルフスブルクに在籍していた、ダニエル・ディダヴィ、そしてビーガンによる影響補給をまとめたビデオだったという。「食べ過ぎといった重さが全く感じられなかった。そして試合後には、これまでよりもうまく回復できるようになっていってね。もうそれも自分にとって、至って普通のことになったよ。ただこれには理念という部分も、確かに影響してはいるけどね。不必要に動物を殺す必要はないと思う」

  フライブルク所属ルカ・ヴァルトシュミットもまた、3年間にわたりビーガンの生活を続けている選手の一人だ。「怪我をして、それから徐々にはじめていったんだ。医師から、まず乳製品をやめてみることからはじめてみては?と。そしてそのことについて考えていくようになったよ」と、若きドイツ代表は説明。

 「確かに最初のうちは、パフォーマンスをよくすることだけを考えてのものだったけどね。でも倫理面という側面も確かにあるよ」と明かしつつも、「実家でおばあちゃんが作ってくれた料理には、肉が入っていたときに拒否することはできないけどね」と、笑顔で言葉を続けた。「でもそれは滅多にあることではないよ!」
 
  ドイツ五輪代表チームにて、栄養アドバイザーを務めるハンス・ブラウン医師によれば、「ビーガンであっても雑食であっても、特に大きな違いは見られなかった」という。つまりは両方の食事法が、「同じ目的を達成できるものだともいえる」と同氏。

 ただし「ビタミンD、B2、B6」といった栄養補給が非常に重要なものとなり、「B12は特に、動物性のものからしか手に入れることはできませんし、鉄分やオメガ3脂肪酸なども考えていかなくてはいけません」とも語っている。

 世界のトップアスリートに目を向けた時、その代表格として挙げられるのが、 F1ではルイス・ハミルトン、テニスではノヴァク・ジョコヴィッチだろう。しかし一方でドイツ代表セルゲ・ニャブリ、またテニスのセレーナ・ウィリアムスは、一度はビーガンをトライしたものの、最終的には再び雑食へと戻っていった。

 ちなみに今回アンケートを行ったなかで、ビーガンであることを認めたブンデスリーガーを2選手以上抱えるクラブは、VfLヴォルフスブルクのみ。しかしながらその多くは回答を避けており、おそらくは肉製品や乳製品を扱うスポンサーのことを意識してのことだろう。

 今回の結論としていえることは、いまや成長期に肉ばかりを口にするような事は考えられない時代、うまく栄養構成の組み合わせを選択していかなくてはならない中で『完全菜食主義』という選択肢は、医療スタッフからの指導をしっかりと仰ぐことで、うまく機能していく可能性もあるということだ。
 


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